産後、抱っこをすると手首が痛い!原因と対処法
2026/08/01
「赤ちゃんを抱っこするたびに手首が痛い…」「ベビーカーを押していると手首がズキッとする…」
このようなお悩みで来院される産後のママは、とても多くいらっしゃいます。
いつか治るかな?と我慢して痛みをかばいながら育児を続けていると、手首だけでなく肘や肩、首、背中まで負担が広がってしまうこともあります。
育児では手首を使う動作がたくさんあります。だからこそ、手首への負担を少しでも減らすことが、ママの体を守ることにつながります。
今回は、産後に手首が痛くなる原因や、日常生活でできる負担を減らす工夫についてご紹介します。
産後に手首が痛くなるのはなぜ?
産後に手首の痛みで悩まれている方は少なくありません。なぜ、産後に手首が痛くなってくるのでしょうか?その原因はいくつかの要因が重なり合って起こることがほとんどです。
① 抱っこの回数が急激に増える
育児が始まると、1日に何度も何度も抱っこをします。抱き上げる、寝かしつける、授乳する、ベッドへ降ろす…。一つひとつの動作は短時間でも、それを毎日何十回、何百回と繰り返しています。
生まれたばかりの赤ちゃんは3kg前後ですが、あっという間に5kg、7kg、10kgと成長していきます。
体重が増えるほど、当然手首への負担も大きくなります。
また、育児には休みがなく、どんなに痛くても抱っこしたりおむつ替えしたり授乳したり繰り返さなければなりません。預ける人がいない方は「手首を休ませる時間がない」ということも痛みが続きやすい理由の1つです。
② ホルモンの影響
産後はホルモンの影響で関節に不調が出やすくなっています。
まず一つに、出産のために分泌する靭帯を緩めるリラキシンというホルモン。妊娠してから分泌しだし、出産時がピークとなり産後約半年かけてもとの状態に戻ります。このホルモンの影響で産後は関節や靭帯が通常よりも緩んでいる状態です。その状態で繰り返し手首に負担がかかることで、手首や親指の周囲に炎症が起こりやすくなります。
そしてもう一つが、関節や軟骨、腱などの組織の健康を保つ働きもある女性ホルモンのエストロゲンの急激な減少です。関節をスムーズに働かせる役割もあるエストロゲンが急激に減少することで、関節がこわばったり、手首や指の関節に負担がかかりやすくなり痛みが出てしまうのです。
③ 同じ姿勢が続く
授乳や寝かしつけでは、長時間同じ姿勢になりやすく、肩や肩甲骨、背中の動きが少なくなります。
本来であれば腕全体や体幹で支えられる重さを、手首だけで頑張ってしまうことも増えるため、少しずつ負担が積み重なっていきます。関節に負担がかかる時期だからこそ、日常の動作や手首の使い方はとても大切になってきます。
手首の痛みが出る動作は抱っこだけではない
今回は抱っこをした時の手首の痛みでお話をしていますが、実は抱っこ以外の動作でも手首は酷使されていて、痛みを感じる方も多くいらっしゃいます。
多く聞かれるのが、ベビーカーを押す動作。
他にも、おむつ替えで赤ちゃんの足を持ち上げる時、チャイルとシートへの乗せ降ろし、沐浴、抱っこ紐の着脱などなど。
また、手首が痛くなってくると、日常の家事での料理や買い物などでも痛みが出てしまいます。
育児中は、手首を使わない日はありません。
しかも無意識に「親指側」で支える動作が多く、この繰り返しが痛みにつながってしまいます。
産後の手首の痛さは腱鞘炎(ドケルバン症)のことも
産後の手首痛で多いのが、親指側に痛みが出る「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」です。
親指を動かした時や、赤ちゃんを抱き上げた瞬間にズキッと痛むことがあります。
ドケルバン症で痛みが出やすい動作は以下のとおりです。
- ペットボトルのフタを開ける
- フライパンを持つ
- タオルを絞る
- ドアノブを回す
このような動作で強い痛みが出る場合は、腱鞘炎になっている可能性もあります。
ベビーカーを押す時に痛みが出る場合も、方向を変える時が一番痛いというのも良く聞かれます。
「そのうち治るかな」と我慢して悪化させてしまう前に、一度体の状態を確認することをおすすめします。
抱っこの時に気を付けたいポイント
抱っこの時に手首への負担を減らすポイントは、手首だけで支えないことです。
赤ちゃんのお尻を手のひらだけで支えようとすると、手首に大きな負担がかかります。できるだけ手首をまっすぐに保ち、腕全体で支えるように意識しましょう。それでも痛い場合は、少しやりづらいですが手のひらを下に向けるようにして支えるとラクになることがあります。
また、肘を体に近づけることも大事なポイントです。
肘が体から離れるほど、腕や手首には大きな負担がかかります。赤ちゃんをできるだけ自分の体に近づけて抱っこすることで、手首だけで支える力が少なくなります。
このように、手首への負担を軽減するには手首だけなく腕全体、体全体を使って抱き上げることが大切です。抱き上げる時も、できるだけ赤ちゃんに近づき体幹や下半身を使うことで、体への負担を大きく減らすことができます。
ベビーカーを押す時に気をつけたいポイント
ベビーカーは一見ラクなようですが、押し方によっては手首に負担がかかります。
ハンドルを強く握り続けていたり、手首を反らしたままコントロールしていると、手首に大きな負担がかかりやすくなります。また、その状態で方向転換をすると手首だけに力が入りがちになるので強い痛みが出やすいのです。
ベビーカーを押す時は、軽くハンドルを握り、手首は反らせずに真っ直ぐに保つように心がけましょう。方向転換の時も、手首だけで方向を変えようとせず、体全体を使って動かすようにすると手首への負担が軽減されます。
また、力が入りすぎていると肩がすくんだり前かがみになったりと、手首だけでなく肩や首も疲れやすくなります。あまり力みすぎず、肘を軽く曲げて肩の力を抜き、体の近くで押すように意識してみてください。
この少しの意識で手首や首肩まわりへの負担が減り、長時間のお出かけもラクになることがあります。
姿勢や体の使い方も大切なポイント
産後の手首の痛みは、ホルモンの影響や育児での負担が大きな原因になりますが、実はそれだけではありません。普段の姿勢や体の使い方もとても大切なポイントです。
例えば、猫背で肩甲骨の可動域が減少している、体幹がうまく使えない、などがあると腕周りの動作で手首に負担が集中しやすくなります。
当院では、産後の手首痛でも手首だけを見るのではなく、こういった普段の姿勢や体の使い方も含めて確認しながら原因を探っていきます。
ご自宅でも続けられるセルフケアや、抱っこ・授乳・ベビーカーを押す時の体の使い方についても分かりやすくお伝えし、日常での負担の軽減を目指します。
産後は我慢して頑張っているお母さんがとても多いです。ぜひ我慢せず、お気軽にご相談ください。
育児手首だけでなく、体全体の使い方を見直すことで、毎日の育児が今より少し楽になるお手伝いができれば幸いです。
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